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INTERVIEW

世界を揺るがした『ガンニバル』が再び

柳楽優弥
尽きることのない喝采

小さな村を舞台に、人びとの狂気を強烈に描いたドラマ『ガンニバル』のシーズン2がいよいよディズニープラス「スター」にて3月19日(水)より独占配信。その主演を務める柳楽優弥さんが撮影を通して感じたこと、そして未来に見据えるものとは。

もうひとつ、
海外のアワードが欲しい

今は世界中で観られるコンテンツが増えて、
昭和のレジェンド俳優たちからしたら
「おもしろい時代だな」
「今やらないでいつやるんだ」
と思うかもしれないですよね。
僕は10代から「やっぱり世界で活躍したい」
という思いが強くて
この時代の変化が味方してくれている
感じがするんですよ。
『誰も知らない』でのカンヌが
ピークだと思っていないし、
やっぱりもうひとつアワードが欲しいので
海外は目指していきたいですね。
もう、やるしかないです。

『SHOGUN 将軍』の続編に
食い込みたいですね

続きが気になるのは……
オーディション番組、
アニメとかいろいろありますね。
ドラマでは『The Bear』※。
イギリスに短期で留学していたときに、
英語に浸りたくて
ひたすら観ていたんですよ。
主演のジェレミー・アレン・ホワイトは
年齢が近いのですごく刺激をもらいましたね。
あとはやっぱり『SHOGUN 将軍』。
あの続きがどうなるかは楽しみですし、
僕もそこに食い込みたいなと思っていますね。
キャスティング、待っています!(笑)

※邦題:『一流シェフのファミリーレストラン』

真剣さには色気が
宿る気がするんです

最近、「真面目」と「真剣」の差を感じるんです。
真面目はカッコいいけど、あまり色気がない。
だけど真剣さには色気が宿るんですよね。
僕もまだ探っている途中なんですけど(笑)、
そういう違いに楽しみを見つけ始めています。
『ガンニバル』の片山(慎三)監督は
現場でセッションをしながら作っていく方で、
シーズン1では大前提の準備をしたうえで
フレキシブルにいたんですけど、
今回は「こうしよう」という考えを捨てて、
より真剣に現場に向き合えたと思うんです。
それは片山さんに頼りがいが
あるからできたことですし、
改めてものづくりをしていく
おもしろさを感じました。

いい反響があったから、
自信を持って
続編の現場に行けました

衝撃の結末で幕を閉じたシーズン1から約2年。『ガンニバル』の続編がいよいよ公開される。
 「僕、主演作で続編があるのが初めてで。シーズン1は想像以上にいい反響があったので自信を持ったうえで現場に行けましたし、それはスタッフもキャストも同じだったんじゃないかなと思いますね。シーズン1でアドリブで言った『ボケカスが』というセリフがあったんですが、おもしろがってくださった方が意外といたので、シーズン2では多めに使っています(笑)」
  
主演を務める中で心がけたことは?と尋ねると、「安全第一」という意外な答えが。
 「前作のカメラマンの池田(直矢)さんが『もちろんいい作品を作りたいけど、プロセスもよくしたい。大変だったけどよかった、だけではなくて、学びの多い現場にして、総じていい作品になったと思えるようにしたい』と話していて、それは僕も同感で。シーズン2でも、いいプロセスにすることや怪我のないようにとか、前作のバイブスは引き継いで、撮影が終わったときにはみんな笑顔でいられたと思います」
 
経験を重ねるごとに、役者としての見せ方だけではなく、作品ができる環境へも気持ちが向いてきた。

 「まず自分がいい表現をしなきゃいけないというのは大前提で、それは今も変わらず思っているんですけど、やっぱり作品ってチームで作るものなんだなとより感じるようになりました。たとえばドラマ『ライオンの隠れ家』では佐藤大空(たすく)くんという男の子がいて、彼ベースで撮影が進むんですよね。となると、今までは個に集中していたけど、そういう考えだけじゃ成立しない。そこで自分のキャパシティがちょっと広がって、チームとしてもっと強くなるために自分はどういるべきなのかを考えるようになってきました」
 
そして、『ガンニバル』の撮影現場でのホットなトピックは〝英語〞だったという。
 「『どうやって勉強してる?』と聞いたり、後輩におすすめしたり。なかなか成長が見えづらいから、この落ち込みをどう乗り越えているのか、すべを聞いて回っていました(笑)」
 
最近も、先輩俳優の姿に刺激をもらった。
 「ゴールデングローブ賞のスピーチで浅野(忠信)さんがカッコいい英語を喋ろうとしていないのが素敵で、カッコつけて話すことに囚われないようにしようと思ったんですよね。そもそも勉強ってカッコいいところばかりじゃないから、僕はそのプロセスをどんどん話していこうと思っていて。それが同じように勉強している人にとってもいいインスピレーションになるから、同じところを目指すみんなで刺激し合いたいんです」


PROFILE

柳楽優弥

やぎら・ゆうや 1990年3月26日生まれ、東京都出身。2004年、映画『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭男優賞を最年少で受賞し、その後も役者として存在感を発揮。最近ではドラマ『ライオンの隠れ家』での好演が話題に。

INFORMATION

ディズニープラス「スター」で
3月19日(水)より独占配信
『ガンニバル』 シーズン2

2022年にシーズン1が配信され、衝撃のラストが話題を集めた『ガンニバル』。シーズン2では、警察官の阿川大悟(柳楽優弥)により、謎多き供花村に隠された真実がついに明らかとなる完結編が描かれる。原作は累計発行部数400万部を超える同名コミック。
 
●原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊) ●監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦 ●脚本:大江崇允、廣原暁 ●出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆ほか


photographs_ERI MORIKAWA
styling_TETSURO NAGASE
hair & make-up_KATSUHIKO YUHMI[THYMON Inc.]
interview_SONOKO TOKAIRIN

※SPRiNG2025年4月号掲載の記事を再編集したものです
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。