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COVER STORY

2024 APRIL COVER ISSUE

吉岡里帆がまとう
モダンなインパクト

新しいシーズンの訪れを感じ始めると、新しい私に出会いたくなる。この春は自信をくれる少しエッジなアイテムを日常に。

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JOHN LAWRENCE SULLIVAN

[ジョン ローレンス サリバン]

肌見せは潔く。
色気よりハンサムさを際立たせて

ハンサム女子には定番の肌見せ服も、意外性のある場所のカットアウトで新鮮さが加速。コルセットのように美しいシェイプとジャガードのラフさのギャップが美しいビスチェには、ブラックデニムをハンドブリーチでホワイトに仕上げたパンツをあわせて、ソリッドなムードを印象づける。

ビスチェ¥35,200、デニムパンツ¥57,200、ブーツ¥110,000、ネックレス¥35,200、ブレスレット¥26,400、リング¥35,200(すべてジョン ローレンス サリバン)

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KANAKO SAKAI

[カナコ サカイ]

動くほどに魅了される、自由なエレガンス

2024S/S、初のランウェイショーを行った〈カナコ サカイ〉。袖を通し動くことでより魅力が際立つフリンジやサテン、メタリックなどが数多く登場した。今回は、ロングドレスのエレガンスさと自由さが共存するかのように、スリットからシルバーのブーツを大胆にのぞかせたスタイリングを。

レースベスト¥49,500、ドレス¥74,800、ロングブーツ※参考商品(すべてカナコ サカイ)フープピアス¥40,700(リューク)

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CFCL

[シーエフシーエル]

理想とするのは、こんなハンサムな日常着

コンテンポラリーな洗練さを身につけたいときに味方になってくれる〈シーエフシーエル〉。シンプルながらも素材の持つ豊かな表現力が、着る人に自信を与えてくれる。流れ落ちる水のようにシャープなストライプのジャケットを、デコルテが美しく映えるミニマルなチューブトップスにあわせて。

ジャケット¥126,500、チューブボディスーツ¥29,700、パンツ¥66,000(すべてシーエフシーエル/シーエフシーエル オモテサンドウ)ピアス¥37,400、バングル¥77,000(ともにリューク)


COVER INTERVIEW
with
RIHO YOSHIOKA

勇気を持って挑戦を選んでいく。
その中で育まれた自分らしさや感性、経験も、まっすぐに愛せるような人になれたら。

やるかやらないかは、いつだって自分次第だから

 挑戦が標準装備されたような人だ。キャリアを振り返ると、訪れる役柄にあわせて、ギターを弾きながら歌い上げ、盲導犬とともに駆け抜け、狐の姿で剣を振るったかと思えば、手話で親子ゲンカを繰り広げたり……。

「自分のことながら挑戦だらけだなと思います。自分の意思で選んで、飛び込んでいくわけですが、毎回、毎回、勇気を振り絞りながらといった感じです。作品の中ではなんとかカタチになっていても、決して器用なタイプではないので、練習が上手くいかないときは、ビールを片手に地を這うようなため息をついたり、もう死にものぐるいです。中川家さんの『となりのおっさん』という大好きなコントがあるんですが、礼二さんが演じているおじさんの姿が、なにかに挑戦している最中の私そのものなんですよ。礼二さんがずーっと苦しそうにお酒を飲むお芝居が自分の姿と重なります(笑)。共演者の中には、初挑戦でもものすごい速度で上達していく方たちもいて。『しずかちゃんとパパ』では、私が寝る間を惜しんで手話を練習して、やっと本番を迎えている一方、笑福亭鶴瓶さんは本番直前に手話指導の方から教わった手話を目で見て完コピ。落語家さんは音や動きを模写する能力が段違いなのは承知の上ですが、あまりにもさらっと習得する様子に打ちのめされました。『見たままにやればええんやで』とアドバイスをくださったけど、普通はそんな簡単にできませんよ、と(笑)」

 直近での初挑戦に話が及ぶと、なんだかとっても楽しそう。

「去年、舞台『ガラスの動物園』の中でダンスシーンがあり、タンゴにはじめて挑戦したんです。演じるシーンは短かったけれど、すごく楽しくて、趣味で体を動かす習い事を増やしたいなって思いました。少し前から習い始めたクラシックバレエは、体のラインを整えたり、体幹を鍛えたりする〝筋トレ〞の意味合いが大きいですが、タンゴは普段発散できない情熱を表現できるのが魅力ですし、何歳になっても始められるよさもあります。タンゴは感情を発散して、もう少しエモーショナルに楽しめたらいいなと思っています。舞台の影響もあって、今、ミュージカルに挑戦したい思いがすごく高まっているんです。映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観たときも、ミュージカル映画のあの多幸感が本当に心地よかった。配信ドラマの『ガンニバル』で共演中の吉原光夫さんは、ミュージカル界でも大活躍されている方なんですが、『いつか挑戦してみたいんです』と話すと、『いくつからでも遅くはないよ』と背中を押してくださって。その話し声も舞台で鍛えられた発声や響きがとてもキレイで、佇まいに落ち着きがあって、吉原さんの言葉からすごくエネルギーをいただけました。ミュージカルをやった人生かやらなかった人生、そのどちらがいいか? 私の答えは明白でやった人生のほうが絶対いい。また、夢がひとつ増えました」

 「もし挑戦に難しさがあるとしたなら?」という質問に、目線を巡らせながら、こう続けた。

「シンプルなところでは以前より体力が落ちているところ、若いときのように失敗しても許される部分があまりなくなってきた。その事実が枷になってしまうのかもしれないですね。さすがに10年以上この仕事を続けていると、矢面に立つ怖さみたいなものはすっかり克服していて、『もうなんでも言ってくれ!』とマインドはたくましく仕上がっているし、もう怖くない。その反面、挑戦とは少しニュアンスが違うかもしれないけど、あえて戦わないという選択をするときもあって。でも先輩たちの中には、こうして表に出る仕事をするからにはと、自分が伝えなきゃいけないことを傷つきながらも発信し続ける方もいらっしゃる。コンフォートな状況からあえてはみ出ていく強さは、シンプルにかっこいいなと思いますし、私も持ち合わせていたいですね」

センスのいい人は自分らしさを愛する

 “その人らしさ”とは、挑戦を続けた先にカタチづくられてゆくもの。吉岡さんが、センスがいいなと心惹かれるのは「自分の持ち味をわかっている人」だという。

「たとえば、一見短所になりそうな部分を長所に変えている人に出会うと、センスがいい生き方を感じるし、自分のことをだれよりも理解しているんだなと感じます。最初の一歩が、だれかへの憧れからだとしても、一歩を踏み出してみれば、合う合わないもあるし、その手探りを繰り返していくと自分なりのやり方なり生き方が見えてきて、やっと自分らしさを楽しめるようになるのかな?と思います。私自身も、長年ピラティスを続けている美しい先輩がいたからピラティスをやり始めましたが、私がやっているのは当初イメージしていたお洒落なピラティスからはかけ離れていて……。かわいいウエアを着て、優雅に……ではなく、キツい負荷をかけながらトレーニングする様は『巨人の星』のようです(笑)。でも、このスタイルがやっぱり手応えを感じられるし、私には合っているなと納得しています」

 働き方や生き方、趣味ひとつにしても、自分にとっての心地よさは自分にしかわかりえない。

「同世代の知り合いに、『なんでそんなに働くの?』と言われたことがあるんです。自分が楽しく過ごせることに時間を費やしたほうが人生は楽しいはずだよと。でも私にとっては今のペースが心地よくて、働きすぎと言われようがこれが私の人生と胸を張れる。だれかの言葉に影響されすぎずに、自分の道を歩んでいきたいです。私は、性格的に〝こうでなければ〞と思いがちだけど、センスのいい人はこうでなければいけないに縛られていない人な気がします。自由な人、自分の物差しで生きている人に憧れますし、ちゃんと自分なりの楽しみ方をわかっているんだろうなと」

信じ込む強さで世界の見え方は変わる

 現在配信中のNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』では雑誌記者を演じている吉岡さん。

「雑誌といっても、普段お世話になっている女性誌ではなくて、UFOや都市伝説などを特集する雑誌の編集部員という設定なので、演じるにあたってはじめて『ムー』を読ませていただきました。秘密結社や古代文明、宇宙人などについて書かれていて、興味津々でしたしおもしろかったです。ドラマ自体もサスペンス要素があるので、不思議や謎の解明のために足を踏み入れてしまう記者の性(サガ)みたいなものを見せられたらいいなと思って演じました。私が演じる女性は、特殊技能があるわけではなく、忍びの人びとに振り回される立ち位置。視聴者の方々の目線に近い立場でもあるので、作品に描かれている世界はこの日本のどこかで本当に存在するのかもしれないと、私自身が信じ込むことを大事にしながら取り組みました。これまでの忍者のイメージが一新され、現代に違和感なく、とてもスタイリッシュに描かれているのも新鮮ですので、ぜひ観ていただけたら」


PROFILE

吉岡里帆

1993年1月15日生まれ。京都府出身。直近の出演作に、映画『Gメン』『ゆとりですがなにか インターナショナル』『怪物の木こり』、ドラマ『落日』『時をかけるな、恋人たち』、舞台『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』など多数。現在、Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』が好評配信中。


model_RIHO YOSHIOKA
photographs_FUMIKO SHIBATA
styling_MIYU YASUMI
hair & make-up_TOMOE NAKAYAMA
interview_HAZUKI NAGAMINE

※SPRiNG2024年4月号掲載の記事を再編集したものです
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